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囲碁日記一覧

「アルファ碁は佐為?」

2016年02月12日

「アルファ碁は佐為?」

囲碁日記勝手読みVol.2

囲碁界にとって、黒船来襲のような、いやそれ以上の衝撃だったのではないでしょうか。
グーグルの開発した囲碁プログラム「アルファ碁」が中国棋院二段の樊麾氏相手に5連勝したというニュース。中国、韓国の囲碁ニュースをインターネットでみていると、この話題に独占されたかのようでした。このニュースは、まだまだ「コンピュータに打ってあげていた」はずの棋士にとって激震。中国では特集番組もあったようです。

このニュースは欧米でも連日大きく取り上げられています。ネットの記事をナナメ読みしたところ「アルファ碁」は自己学習機能があり、自分で一日100万局の碁を打ち勉強しているとのこと。ヒトの一生で打てる対局なんて、30年間毎日1局打ったとしてもおよそ1万局。1日でヒトが生涯かけて学ぶ量の100倍の経験を積んでしまうのです。
そんなにすごいプログラムなら、いつか囲碁を極めてしまうかもと考えて、思い直しました。

 「グーグルって、囲碁を極めたいと思って囲碁ソフトをつくっているわけじゃないんだろうなあ」。

おそらく、囲碁を打つプログラムをつくる過程というのは、人間の思考に近づくために大切なステップなのでしょう。
囲碁のプロは幼少のころから、ただひたすら修行の毎日。棋士の打つ碁は、英知の集結といいかえることができるかもしれません。棋士を破るということは、人間の思考を凌駕することの証明になっているのです。
グーグルは、人間以上の思考プログラムをつくることができるとアピールするために、囲碁プログラムをつくっている気がしています。

そんなことを考えていると、なんとなくヒカルの碁を思い出してしまいました。佐為がインターネット上で打っている場面です。
インターネットの世界で思う存分打ちまわしていた佐為ですが、消える日がやってきます。消えてしまったあとは、ネット碁の世界に2度と姿を現すことはありません。
3月には、世界チャンピオンに何度も君臨した李世ドル九段との対局がありますが、「アルファ碁」が世界チャンピオンに勝ったら、きっと人間と囲碁を打つ役目は終わりなのでしょう。ヒカルの碁で佐為が消えたときのように。
囲碁を制したとき「アルファ碁」の思考は、他の分野(報道によると医療・介護技術など)に応用されるわけです。そのときは囲碁の思考をすることはもうないのでしょうね。
囲碁ファンとしては、アルファ碁の棋譜をもっと見たい。そのためにも李世ドル九段に、人間のすごさを見せてほしいと思っています。

内岡泰明(うちおか・やすあき)
級位者ながら囲碁界のニュースをウォッチングするのが趣味。囲碁イベントにもよく顔を出しています。仕事が早く終わった日に、家で野狐囲碁を楽しむのが日課。

七冠達成の死角を探せ

2016年02月05日

七冠達成の死角を探せ

いま日本碁界の一番の話題は、井山裕太棋聖が七大タイトル同時制覇(いわゆる七冠)を達成するかでしょう。七大タイトル制になって六冠となったのも井山が初。もう前人未到の領域を突き進んでいるのです。
このコラムがアップされる2月5日現在、棋聖戦七番勝負で井山は、山下敬吾九段相手に3連勝と防衛にあと一歩と迫っています。棋聖を防衛すれば、あとは十段を奪取するのみ。今の勢いを見ると達成してしまいそうですが、あえてここでは井山の日程から取りこぼす可能性はないかを探ってみることにします。
タイトル戦は地方対局がほとんどのため、長距離移動がつきものです。当然疲れも出てきます。もちろん対局は限界まで自分を追い込むわけですから、その消耗度はかなりのもの。そんなことを考えながらカレンダーを見ると、3月の上旬に最大の難所が訪れることがわかります。
棋聖戦と十段戦の最中に中国で行われる国際戦の農心杯参加するため、対局か移動かというスケジュールが発生しているのです。さっそくまとめてみましょう。
3月1日 農心杯第3ラウンド開幕

5日 農心杯第3ラウンド最終戦
6日 (中国から日本への移動日)
7日 (十段戦前夜祭)→大阪開催のため移動はなし
8日 十段戦第1局(大阪)
9日 (棋聖戦のため新潟へ移動)
10日 棋聖戦第6局1日目(新潟)
11日 棋聖戦第6局2日目(新潟)

 十段戦五番勝負第1局は井山の地元・大阪開催ではありますが、中国から帰った次の日に前夜祭というハードスケジュールが組まれています。もちろん第一人者としての宿命なのですが厳しいことには変わりありません。そんな状況の中で、井山が1局目に勝利すれば奪取に限りなく近づいたといっていいでしょう。防衛を目指す伊田篤史十段にとっては、初戦が正念場といいかえることができそうです。
そして棋聖戦第6局がある場合は、よりきつい日程となるのが気になります。是が非でも5局目までに終わらせたいというのが本音ではないでしょうか。井山にとって棋聖戦は防衛するだけではダメで、4-0もしくは4-1で勝利し、自分の休息を自分でつくりだすことも課されているようです。
過密日程をどう乗り越えるかに、七冠達成のポイントがあるといっても言い過ぎではなさそうですね。

内岡泰明(うちおか・やすあき)
級位者ながら囲碁界のニュースをウォッチングするのが趣味。囲碁イベントにもよく顔を出しています。仕事が早く終わった日に、家で野狐囲碁を楽しむのが日課。