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囲碁日記

アルファ碁と囲碁界

2016年04月15日

グーグルが巨額の資金を投入して制作した囲碁AI「アルファ碁」の登場は、囲碁ファンに様々な感情をもたらしました。

 私の碁敵のひとりは「石を持つ気力もない」とポツリ。しばらく元気がありません。囲碁の棋士は、まだまだコンピュータに負けないと思っていた人ほど、アルファ碁の衝撃に落ち込んでいたようでした。

 一方、囲碁を知らない人と話していると、ゲームで勝っただけでしょと冷ややかな対応になる人がほとんどでした。

 この反応は、アルファ碁の衝撃を一面的にしか見ていないような気がしてなりません。私は、アルファ碁の勝利がもたらしたものは、AI進化の証明だったと感じています。なのにニュースを見るだけではいまひとつわかりにくい。

 ということで、このニュースをもっとわかりやすく表現する何かいい例えはないかなと思っていました。私なりの解釈にお付き合いください。

 ここではIBMの製作したAI「ワトソン」を例に考えてみましょう。

 この「ワトソン」くんは、クイズ王との対決にも勝利し、企業でも働いているスーパーマン(人工知能ですからスーパーAIといったところでしょうか)。そして、お料理レシピを考えるのも得意なんだとか。

 レシピ本を発売するとのことで、きゅうりのレモネードといったいままでの常識を覆すものも並んでいたそうです。

 そうそう、今回の李世ドル戦でも、奇想天外な手がありました。これは「週刊碁」の受け売りですが、棋士が今まで考えていなかったような手を打っていました。

 これは例えていうなれば、世界料理コンテストで、きゅうりのレモネードを出すようなもの。観客はびっくりしたけど、とっても美味しくて、三ツ星シェフに勝ってしまった感じでしょうか。

 今までの常識は前に進む足かせにもなっているのです。囲碁においていい形といわれるものは先人の知恵の結集であり、上達の役に立つものです。しかしトップ棋士がより強くなるには、その蓄積を捨てる勇気も必要なのでしょう。またまた週刊碁の記事からですが、トップ棋士ほどアルファ碁の登場を受容しているようでした。これは棋士のあくなき向上心を示しているものであります。

 人間がこれまで蓄積してきた知識は、これまでの進化には大きく役立ちました。しかし進化は加速度的に進みます。いままでの常識を疑い、いいものを生み出すことの繰り返しが、進歩につながります。

 きゅうりのレモネードも食わず嫌いするわけにはいけません。おいしいのか調べる必要がありますし、よりおいしくなるにはどうするべきなのかも検討すべきでしょう。

 アルファ碁の勝利のニュースに触れ、ふとこんなことを考えました。

内岡泰明(うちおか・やすあき)
級位者ながら囲碁界のニュースをウォッチングするのが趣味。囲碁イベントにもよく顔を出しています。仕事が早く終わった日に、家で野狐囲碁を楽しむのが日課。

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